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明日、向田邦子さんの命日

(若き日の向田邦子さん。何度見ても、本当に美しい人だなぁと思います😌)


「向田邦子(むこうだ くにこ)」という名前をご存知でしょうか。
私と同世代の方は、ご存知の方が多いと思いますが…。

向田邦子さんは、昭和のテレビドラマ史にその名を残す、数々の名作を産み出した脚本家です。
その一方で「直木賞」を受賞した作家でもありました。
また、向田さんが書いた数々のエッセイは「父の詫び状」、「眠る杯」などの本にまとめられて出版され、今なお多くの読者の心を惹き付けています。

(最後の猫となったマミオと向田さん)

明日は、その向田さんの命日です。
1981年(昭和56年)の8月22日、台湾に旅行中だった向田さんは、乗っていた飛行機が墜落し、帰らぬ人となったのです。

脚本家としても、作家・エッセイストとしても絶頂期だった向田さん。
あまりにも突然の悲劇的な最期でした。
向田さんは「享年51歳」だったそうですが、今の私とちょうど同い年、それを知って何とも言えない気持ちになりました。


(私の本棚にもあった向田さんの本)

向田さんは、最初は映画雑誌の編集者として就職しました。
しかし、そのずば抜けた文才が認められ、やがてラジオドラマの脚本を書く「放送作家」の道に進みます。
日本を代表する名優・森繁久彌さんと出会ったことは、向田さんの人生の大きな転機になりました。

やがて、ラジオドラマからテレビドラマの時代へと移り変わる中で、向田さんもテレビドラマの脚本家として才能を開花させていったのです。




向田さんの書いたドラマの中で、私が忘れられない作品が「阿修羅のごとく」と「あ・うん」です。
そのうち「阿修羅のごとく」は、リアルタイムで放送された時、私はまだ少女だったので見た記憶がないのです。(母は見ていましたが…)
見たとしても、当時の私には、まだ理解出来なかったでしょう。
自分が大人になり、アンコール放送されたのを初めて見た時、衝撃を受けました。

家族同士であっても、内面にはこんなに「深い闇」があり、心の中にはドロドロした想いや猜疑心が渦巻いている、ということに愕然としました。

ドラマのあちこちに散りばめられた緻密な「伏線」、日常生活のリアリティを追求したセリフや描写…。
向田さんという脚本家は、やはり「天才」だと思ったのでした。

(脚本家として不動の地位を築いた頃の向田さん。収録スタジオにて)

長くなるので、向田さんの小説、エッセイについては、また別の機会に詳しく触れたいと思いますが…。
今なお、新しい世代のファンを次々に獲得している向田さんの作品達。
彼女ならではの鋭い人間観察、人の心に潜むエゴを暴き出す残酷なほどの洞察力、機知とユーモアにあふれた作品を読むと、どうしたらこんな文章が書けるんだろう、と思ってしまうのでした。

(カメラマンだった「恋人」が撮影したと思われる向田さん。二人旅の宿でしょうか)

美人で才能に恵まれ、仕事面でも絶好調、私達から見たら、羨ましい人生に思えますが…。
実は向田さんにも、人には言えない様々な想いがあったようです。

向田さんの死後、何年くらい経っていたでしょうか?
妹さんが、亡き姉・邦子さんと恋人とが交わした「恋文」を公開し、大きな話題になりました。
その「恋人」とは人目を忍ぶ仲でしたが、人気脚本家として多忙になっていた邦子さんは、少しの時間を見つけては「彼」の部屋に通い、お料理を作ってあげたり、一緒に過ごしたりしていたそうです。(カメラマンだった恋人N氏は、身体を悪くして仕事も辞め、妻とは別居していたそうですが)

「向田邦子の恋文」という本に、2人の恋の経緯が詳しく書かれています。
結局、「恋人」の突然の自殺によって、2人の恋にはピリオドが打たれました。
「彼」との恋は、向田さんが死ぬまで「秘密」として、自分だけの胸にしまっておいたのです。

人には言えないこうした「秘密」が、後の向田作品に「陰影」を与え、より深みを増したのでは、と思います。


(ファッションも、本当に気に入ったものしか身に付けない「こだわりの人」だったという向田さん)

映画雑誌の編集者から、やがて日本を代表する人気脚本家に登り詰め、小説では「直木賞」も受賞。
一方で「秘めた恋」を貫き、恋人の自殺を乗り越え、やがて「一人暮らし」の達人として、世の女性達が憧れる存在となり…。
最後は、飛行機事故で突然この世を去るという、あまりにも「ドラマティックな人生」でした。
まるで、向田さんの人生そのものが、1本のドラマのように感じられるのでした。

私も長い間、向田さんのファンですが、最近は、リアルタイムでは向田さんを知らない若い世代の方にも、「向田邦子」に魅せられる人が増えているといいます。

本屋に行けば、向田さんの生き方やライフスタイルを紹介した本が何冊も売られています。
自分の好きなものにこだわり、美しいものが大好き、独自のオシャレを楽しみ、食い道楽で料理上手、旅を愛し、猫を愛し、自由気ままに生きた女性…。
今、向田さんのそんな生き方が多くの女性を魅了しているようです。


ただ、随分前ですが、向田さんの「追悼特番」の中で、親交の深かった森繁久彌さんが仰った言葉を思い出すのです。
「今はみんな、向田さんのことを殊更に神格化、理想化している感じだけど、実際は、本当にフツウの人だったのじゃないかな?」と…。

確かに、私達は、向田さんの中に「理想の女性像」を重ねて見てしまうのかも知れませんね。
とは言っても、やはり彼女が実に魅力的で、才気あふれる女性だったことは間違いないのですが…。
また、向田さんの本を読み返してみたくなりました。


明日は向田さんの命日。
亡くなってからもう36年も経つなんて、信じられない気がします。
もし向田さんが今もご健在なら、88歳くらいのはず、今の日本をどのように思われるでしょうか?


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